今日、会社で定年退職の人を見送った。
この職場で長く働き、シニア社員として5年、さらに派遣社員として1年を過ごし、ついに仕事を終えた人。
「本当に、これで仕事は終わりですね」
そう言いながら挨拶回りをするその人の表情は、どこか穏やかで、それでいて少し寂しそうにも見えた。
退職スピーチはシンプルだった。
「長い間お世話になりました。これからは、のんびり過ごします」
周りは拍手を送り、「お疲れさまでした」と声をかける。
その光景を見ながら、自分はふと考えてしまった。
『自分はどうやって辞めるんだろう?』
4年後、シニア社員になる。
給料は下がるけれど、それでもまだ働く。
今日退職される人のように、「本当の退職」を迎えるのは、きっとまだ先のことだ。
今の自分は「静かな退職」を続けている。
以前のように全ての仕事を引き受けず、ほどほどにやる毎日。
気持ちは楽になったはずなのに、たまに虚しさを感じることもある。
『こんな働き方でいいのか?』と、自問する日もある。
でも今日、退職していく人を見送って、改めて思った。
「本当に仕事を辞めたら、その先はどうなるんだろう?」
自由な時間が増えるのはいいことだ。
でも、いざ働かなくなったら、何をして過ごせばいいのか。
収入がなくなることへの不安もあるし、何より「もう社会とつながっていない」という感覚に耐えられるのかどうか。
定年退職の人の晴れやかな表情の奥に、ほんの少しの不安がにじんでいるような気がしたのは、きっと自分がそう感じているからだろう。
「お疲れさまでした」と言いながら、どこか羨ましく思った。
でも同時に、今の自分の状況も、そんなに悪くないのかもしれない。
まだ働いている。まだ社会の中にいる。
静かな退職を続ける毎日は、時に退屈で、時に疲れる。
それでも、まだ仕事があるということは、ある意味では幸せなのかもしれない。
そう思うと、少しだけ気持ちが軽くなった。
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