カチカチと、人生が減っていく音
静かな部屋にいると、たまに聞こえてくるんです。
時計の秒針の音。
「カチ、カチ、カチ……」
普段は全然気にしてないのに、ふと耳がそれを拾ってしまったとき、私は思います。
「あ、今、私の人生、1秒ずつ減ってるな」って。
特に夜、部屋の灯りを消して、布団にくるまっているとき。
音が何もないぶん、カチカチという音だけが、やたらと大きく感じる。
最初にそれを怖いと思ったのは、中学生のときでした。
時間って永遠にあるもんじゃないんだって、頭じゃなくて体でわかった瞬間だったのかもしれません。
それから何十年もたって、時計の秒針は何千万回も動いたはず。
きっと、もうこれまで生きてきた秒数より、これから残されている秒数のほうが少ないんだろうな、と思います。
そんなことを考えると、カチカチと音が鳴るたびに、さらに怖くなる。
最近、思うようになったこと
でも最近は、ただ怖いだけじゃなくて、その1秒1秒をどう過ごすかってことも、考えるようになりました。
大きなことじゃなくていいから、自分や家族にとって意味のあることを、
楽しいと思えることを、残りの秒数の中で少しでもたくさんできたらいいなぁと。
そんなふうに思えた時は、
秒針の音も、ほんの少しだけ、やさしく聞こえる気がします。
今、楽しいと思えることはサッカー観戦なんですけど、
元気でいられる間、あと何回観戦に行けるだろう?と考えること、あります。
エディオンピースウイング広島に行くと、試合前にピッチの風景を見ながら、
あと何回来れるかな。
これで生涯来れる回数の1回を使っちゃったな。
と思うことも。
50代も半ばになって、退職も見えてくると、これまでにはなかったことを急に考えるようになるもんですね。
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