同僚が言った。
「言い方だけ、なんだろうけどね」
上司の話をしていたときのこと。
業務で気づいたことを相談したのに、
バッサリ切られたらしい。
「もう何も言えなかった」って。
その一言で、
その場の空気ごと止まった感じがした。
せっかく出した言葉が、
なかったことにされるような、あの感じ。
きっと、ああいうのが積み重なると、
人は何も言わなくなるんだと思う。
その話を聞いて、思った。
…ほんとに、言い方だけ?
言い方って、そんなに軽いものなんだろうか。
同じ内容でも、
言い方ひとつで、
受け取り方は全然変わる。
それくらい、わかっているはずなのに。
嫌な言い方って、
嫌な気持ちにさせる言い方じゃないのか。
少なくとも、自分がああいう言い方をするなら、
少しは傷つけるつもりで言う。
だから、どうしても引っかかる。
「悪気はない」
その言葉。
本当に、そうなんだろうか。
悪気がないのに、
あんなふうに人を遠ざける言い方ができるんだろうか。
それとも、
相手がどう受け取るかまでは、
考えていないだけなのか。
でも同僚は、違う見方をする。
「そういう言い方しか
できない人なんだよ」って。
その言葉を聞くたびに、
また庇うんだな、と思う。
同時に、優しいなとも思う。
たぶん、本気でそう思っている。
相手の意図を、できるだけ悪く取らないようにしている。
そうやって、関係を壊さないようにしているのかもしれない。
だから余計に、考えてしまう。
傷ついた側が、
相手の言葉を“優しく解釈する”のは、
何のためなんだろう。
自分を守るためなのか。
それとも、
相手を許すためなのか。
そうしないと、
ここではやっていけないからなのか。
正直、自分にはまだわからない。
人を傷つけるつもりがなくて、
ああいう言い方になることが。
それを「言い方だけ」と
切り分けて考えられることが。
同じ出来事なのに、
こんなにも受け取り方が違う。
どっちが正しいとか、
そういう話じゃないのかもしれない。
ただ、
人の言葉って、
“言い方だけ”で
片付けていいほど、
軽くないと思っている。




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