秋になると、スーパーの果物売り場に並ぶ柿。
鮮やかなオレンジ色を見ると、秋が深まってきたことを感じますね。
ところで、柿には「甘柿」と「渋柿」があります。
見た目はよく似ているのに、甘柿はそのまま食べられて、渋柿は口に入れると強烈な渋みを感じます。
いったい何が違うのでしょうか。
そして、あんなに渋い柿が、干し柿になると甘く感じられるのはなぜなのでしょう。
調べてみると、柿には意外な秘密がありました。
甘柿と渋柿の違いは「タンニン」にあった
甘柿と渋柿の違いは、実は糖分の量だけではありません。
大きな違いは、「タンニン」という渋み成分が、水に溶ける状態かどうかにあります。
タンニンは、お茶やワインなどにも含まれている成分です。
柿に含まれるタンニンには、水に溶けやすい状態と、水に溶けにくい状態があります。
水に溶けるタンニンが口の中に広がると、舌や口の中がキュッと締めつけられるような渋みを感じます。
甘柿も、まだ実が小さいうちは渋みがあります。しかし、成熟するにつれてタンニンが水に溶けにくい状態になり、渋みを感じなくなります。
一方、渋柿は熟しても水に溶けるタンニンが残るため、渋いままなのです。
つまり、甘柿にはタンニンがないのではなく、渋みを感じにくい状態になっているということなのですね。
渋柿にも、実は糖分がたっぷり!
ここで意外なのが、渋柿にも糖分が含まれているということです。
渋柿は甘くないから渋いのではありません。
糖分があっても、タンニンの強い渋みが邪魔をして、甘さを感じにくくなっているのです。
そのため、渋みを取り除けば、渋柿もおいしく食べられます。
品種によっては、渋抜きした柿の方が甘柿より甘く感じられることもあります。
干し柿にすると甘くなるのはなぜ?
冬の風物詩でもある干し柿。
軒先に柿がずらりと吊るされている風景を見ると、なんだか懐かしい気持ちになります。
でも、あんなに渋かった柿が、干すだけで甘くなるのは不思議ですよね。
実は、干し柿がおいしくなる理由は、大きく2つあります。
① 渋みを感じなくなる
柿を干す過程で、渋みの原因となる水溶性タンニンが、水に溶けにくい状態へと変化します。
そのため、口の中で渋みを感じなくなります。
② 水分が減って甘みが凝縮される
干し柿は、乾燥によって水分が減ります。
その結果、糖分が濃縮され、甘みが強く感じられるようになります。
つまり、干し柿は単に渋みがなくなるだけでなく、乾燥によって甘さが凝縮された食べ物なのです。
渋柿は干さなくても甘くできる?
実は、渋柿を甘く食べる方法は、干し柿だけではありません。
アルコールや炭酸ガスなどを使って渋みを抜く方法もあります。
これを「渋抜き」や「脱渋(だつじゅう)」と呼びます。
渋抜きによってタンニンが水に溶けにくくなり、甘さを感じられるようになります。
スーパーで販売されている「種なし柿」などにも、もともとは渋柿で、渋抜きをしてから出荷されているものがあります。
私たちが普段何気なく食べている甘い柿にも、こうした工夫が隠れているのですね。
甘柿と渋柿は見た目でわかる?
甘柿と渋柿は、形や色だけで確実に見分けることはできません。
品種によって丸いもの、四角いもの、細長いものなど、さまざまな形があるからです。
ただし、切ったときに果肉に現れる黒い点々が、手がかりになることがあります。
この黒い点々は「ゴマ」と呼ばれ、タンニンが水に溶けにくい状態になったものです。
ただし、ゴマがなくても甘い柿はありますし、ゴマがあっても渋みが残る場合があります。
そのため、確実に判断したいときは、品種名や販売時の表示を確認するのがよいでしょう。
柿には4つのタイプがある
実は、柿は大きく甘柿と渋柿に分けられますが、さらに細かく4つのタイプに分類されます。
| 種類 | 特徴 | 代表的な品種 |
|---|---|---|
| 完全甘柿 | 種の有無に関係なく自然に渋みが抜ける | 富有、次郎 |
| 不完全甘柿 | 種が多くできると渋みが抜ける | 西村早生、禅寺丸 |
| 完全渋柿 | 種ができても渋みが残る | 西条、愛宕 |
| 不完全渋柿 | 種の周辺だけ渋みが抜ける | 平核無、刀根早生 |
普段はあまり意識しませんが、柿にもこれだけの違いがあるのですね。
おいしい柿の選び方
せっかく柿を買うなら、おいしいものを選びたいですよね。
農林水産省が紹介している、おいしい柿を選ぶポイントは次のとおりです。
- ヘタがきれいな緑色をしている
- ヘタと実の間にすき間が少ない
- 全体がきれいに色づいている
- 持ったときにずっしりと重みがある
- 皮に張りとツヤがある
硬めの柿が好きな人もいれば、少し柔らかくなった柿が好きな人もいるでしょう。
好みの食感に合わせて選ぶのも、柿を楽しむ方法のひとつです。
まとめ|甘柿と渋柿の違いは、甘さよりも渋みの状態
甘柿と渋柿の違いは、単純に糖分が多いか少ないかではありませんでした。
どちらにもタンニンが含まれていますが、それが水に溶ける状態かどうかによって、渋みの感じ方が変わります。
そして、渋柿も渋抜きをしたり、干し柿にしたりすることで、おいしく食べられるようになります。
昔の人は、こうした柿の性質を経験から知り、保存食としても利用してきたのでしょう。
秋の味覚として身近な柿ですが、調べてみると意外に奥が深い果物ですね。
今度柿を食べるときには、甘柿なのか、渋抜きされた柿なのか、ちょっと気にしてみるのも面白そうです。






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